あにめマブタ

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アニメソングの「キラーフレーズ」 (ゆゆ式 Advent Calender 11日目)

キラーフレーズ、てあります

 こんばんは。今日はアニメソングの話。
 オープニングテーマ、エンディングテーマ曲って、アニメ本編に1回流れますよね。1クールなら13回。
 で、13回って意外にハードル高い。自分のiTunesの再生回数でソートしてみると、13回以上聴いてる曲って、全体の1割だった。だから、ひとつの曲を13回も聴く機会って、多分、なかなか無いんです。

 で、13回も聴いてると、どこかで引っ掛かる、耳に残るフレーズが出てきたり。そういうのを僕は「キラーフレーズ」と呼んでるんです。
 たとえばこれ。↓

ゆゆ式』オープニングテーマ「せーのっ!」

歌:情報処理部(大久保瑠美津田美波種田梨沙
作詞・作曲 - ふわりP
TVアニメ「ゆゆ式」オープニングテーマ「せーのっ! 」 (通常盤)(数量限定オリジナルストラップ付)

そよ風になびく髪が カバンのそばをおよいだ

 終盤、崩した拍子の静かなパートに入る前のワンフレーズ。僕は今回、このフレーズを紹介するためにこの記事書き始めたんです。
 ここ、自分が持ってるカバンの近くに、揺れる髪の雰囲気だけを感じる、というイメージがある。ホントいい。
 「カバンのそばをおよいだ髪」って、縁ちゃんの髪ではないのか。多分そうやで。

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『楽園追放』は3DCG表現を逆手に取った演出に注目

 どうも。ヒグチです。
 『楽園追放』について、インプレッションな感想記事を残しておきたいと思って書いてます。
 次のセクションから完全に【ネタバレ】していくので、気をつけてください。

 僕が感じた全体像として、牧歌的なSF作品というのがやっぱりあるんです。

 色々なものが一見解決したかのように見える世界で、人類はゆるやかに肉体的にも精神的にも縮小再生産を重ね、結果的には衰退を続けているという、ちょっとシニカルな世界観。そういう中で、何か本当のものがあるかもしれないと、もがいていくキャラクターたちに好感が持てる。
 舞台となっている青空と砂漠のように、描写にせよ演技にせよ健康的で、ポジティブな作品だと思った。

 で、そこから、もうちょっと考えてみたいわけで。

キャラクターが作画される⇔ディーヴァが計算する

 まず最初に気付いたのは、最初のビーチのシーン。人々が完全3DCGで動いているんだよね。対して、アンジェラが地球に降下して街に着いてからの人々は2D作画。

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あなたを見つけて砂漠を抜け出すこと ~『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』を今考える~

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少女革命ウテナ

 というアニメがある。今から17年前、1997年の4月から12月にかけて放映された全39話のオリジナルTVアニメシリーズだ。
 監督である幾原邦彦のもとに結集した若いスタッフ(のちに第一線級のクリエーターとなる人々ばかりだ)が作り上げた本作は、鮮烈なビジュアル/ストーリー/音響で、多くのアニメファンの記憶に独自の位置を占めるに至った。
 今回俎上に上げるのは、TV版放映の翌々年、99年7月に公開された劇場版『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』だ。

 難解と言われる『少女革命ウテナ』シリーズだが、その原因は、ひとつの言葉が、シチュエーションによって全く違った意味で用いられることだ。
 本作には「永遠」、そして「世界の果て」という言葉で言い表されるものとの対立軸がある。それは、永遠に続くもの、絶対に信じられるものは存在するのかしないのか、という議論だ。
 この世界のどこかに限界点、世界の末端があるのだとすれば、永遠に続くものは原理的にあり得ない。であれば、どちらかの立場をとるのであれば、もう片方は否定するしかない。この2つは本作のキーワードであり、またこの対立がどのような結末を迎えるのか、というのが本作の主題・テーマに深く関わってくる。

 更に、「城」「星」「王子様」「光差す庭」というサブキーワードがある。これは一見、「永遠」に属するように見えるが、後半に行くに従って「世界の果て」側に属していく。つまり、これらは「かりそめの永遠」だ。城は幻であり、星は投影された影であり、王子様は最初から死んでおり、光射す庭はもう無い。

 だから、本作の登場人物たちは、何らかの意味で「永遠」を失った人々だ。彼らは「永遠」を失ったが故に「永遠」を求めている。そのため、「永遠」を約束する学園のシステムに進んで従い、そして縛られているのだ。(本作では、現実主義者に見える者ほどロマンチストであり、ロマンチストに見える者ほど現実主義者な傾向がある。)

 TV版終盤では「世界の果て」との対立と、その結末が描かれた。一方、劇場版では「永遠」の喪失と「世界の果て」の支配と、そこからの脱出に描写を絞り、より内的なメッセージ性が高められている。これは、内的な解決をTV版で、外的な出来事を劇場版で描いた『新世紀エヴァンゲリオン』と対照的だ。
 以下では、僕と友人のゆるめのチャットログをベースに『アドゥレセンス黙示録』の見どころを話していく。

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文フリ19にて「音響監督 鶴岡陽太さんの音響演出」に関する文章を発表します

 こんにちは、毎週の労働後に『SHIROBAKO』を視聴することを「夜勤」と呼んでいるヒグチです。

 来たる三連休の終わり、11/24(月祝)の文学フリマ(第19回)で頒布します冊子で、「アニメ音響演出」全般に関する文章を発表します。

 タイトルは「アニメにおけるサウンド/ボイス演出と、ベストテイクを降ろす技術 ~ヒットメーカー鶴岡陽太のコンセプト志向~」です。

 簡単に背景を説明する前に、場所・時間などの詳細を置きます。
 文章の最後に、新刊の表紙も載せています。

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「今期の○○さんはどの作品に来てる?」で新作アニメをセレクトする

 こんばんは。10月から秋アニメ始まりますね。僕はまだ、月刊少女野崎くんが終わってしまうことが受け容れられないでいるんですけど。※最終回を観る勇気がない

 新しい番組が始まるとき、これからの三ヶ月、どれを追っていくかすごく迷うんですよね。
 僕はひとまず3話くらいまで観て決めるんだけど、自分が好きなスタッフさんが参加しているか、という部分にも目が行ってしまったりする。

 この記事では「このスタッフさんが参加されるなら、追いたいでしょ」となるスタッフさんを数人、挙げてみたい。

作詞:畑亜貴さん 作編曲:MONACAスタッフ

 畑亜貴さんと言えば、最近ではラブライブ!の全楽曲をはじめ、多くのアニメソングの作詞を手がける、超多作な作詞家だ。*1

*1:最近Twitterで、手がけてきたアニメ主題歌の99%は「曲先」(先に出来ている曲のメロディーに歌詞をつける)と興味深い発言

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アニメ作画のキャラ芝居・日常芝居を楽しむ ~『アイカツ!』~

作画をゆるーく楽しむ

 前回の記事では、『アイカツ!』第89話「あこがれは永遠に」を題材に、脚本(会話劇の面白さ)について「ゆる見」をしてみた。

 アニメを「ゆる見」するというのはつまり、「この脚本は誰が書いた」「このカットは誰が描いた」という、いつものアニメファンの見方から少し離れて、「どこのどういう部分がこんなふうに良かった」という感想を、少しずつ具体的な言葉にしていくことだ。

<前回の記事>

 前回、「脚本」と「作画」は非常に語りにくいファクターだという話をした。なぜなら、脚本も作画も、完成品に対して複数人が手掛けていることが多いからだ。たとえば脚本は、監督たちスタッフを含めた複数回の脚本会議でブラッシュアップされたあと決定稿となるが、後続工程の絵コンテ・演出で修正・加筆されることも多い。

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アニメの脚本を「ゆる見」する。『アイカツ!』89話

脚本と作画をゆるく楽しむ

アニメについて話していると、最も話題にしにくい2つの観点が「脚本」と「作画」だったりする。
この2つは明らかに重要な要素なのに、それがどんな風にすごいのかを話すための便利な言葉を、僕はあんまり持っていない。

今回は、その2つの要素、脚本と作画を「ゆる見」したい。
誰々が書いたから脚本がどう、誰々が描いたから作画がどう、という話ではなくて、どういうところが良かったという感想を、ゆるーい目線で話せないだろうかという話だ。
(僕が詳しくなくて、マニアックな話が出来ないということもあるけども。)

今回は、2年目も佳境の『アイカツ!』から、すごく感動した話数があったので、この記事では脚本を「ゆる見」したいと思う。

脚本1:マヤとユリカの会話

アイカツ!』89話「あこがれは永遠に」は、メインキャラの1人、藤堂ユリカにクローズアップするエピソードだ。
そもそも『アイカツ!』は、学園生活を送る個性的なアイドルたちが色々な「アイドルカツドウ」を続けていく、既に放映開始から2年が過ぎようという長寿シリーズ。中でも藤堂ユリカは自身を「吸血鬼ドラキュラの末裔」と名乗り、バンパイアキャラを売りにアイドル活動を続ける、ちょっと変わったアイドルだ。

これまでもユリカをフューチャーしたエピソードは幾つかあったが、印象的なのは、ユリカのスキャンダル回だ。吸血鬼キャラで通っているユリカも、普段は黒ぶちメガネの冴えない女の子。それを雑誌に書き立てられたことで、ユリカもかなり苦しんだことがある。(もちろん、このシリーズのことだから、あまりえぐい描写ではないのだけど。)

次から始める引用は、握手会で小さな女の子に「どうしたらユリカ様のように強くなれますか?」と真剣に訊かれたユリカが、とっさに答えてあげることができない、というシーンの直後から始まる。沈んでいるようなユリカに、ユリカと専属契約しているファッションブランドのデザイナーが、とつぜん声をかけてくる。

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(物思いにふけるユリカ)

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