あにめマブタ

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話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選

今年が終わる5分前ですが、投稿を…。

●一覧:

●参考リンク
「話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

ゆるキャン△ 第7話「湖畔の夜とキャンプの人々」

 「好きなこと」との距離感と、「好きな人」との距離感が同列に描かれる本作にあって、
 この話数のラストシーンには、それを象徴するような美しさがありました。
 一人が好きな人間が同じテントで寝てもいいし、
 みんなと一緒が好きな人間が舟と荷車でそれぞれ荷物を運んでもいい。
 個人が個人であることを尊重することが、これだけ尊ばれた数分間を、どうかもう一度観てほしい。

ヤマノススメ サードシーズン 第10話「すれちがう季節」

 少女の挙動には、少女にしかない、精神的なシズル感があり、
 それをアニメーションで表現するにあたっての研究の最先端が「ヤマノススメ」という作品である。
 とりわけ、この話数ではひなたから見たあおいの「しぐさ」に感じるものから生まれた感情が、
 終着地へと二人の関係性を推し運ぶ、その起点となっていく。
 アニメが描くことが可能な感情の枠組みを、明らかに一歩押し広げた圧倒的な作画に痺れてほしい。

ラーメン大好き小泉さん 第7話「全国」

 「日常からのミニトリップ」としてのラーメンを丁寧に拾い上げた本作にあって、
 日本全国旅行を、ラーメンの食べ歩きで再現するというBパートの趣向は、ひとつのクライマックスだ。
 本作の画面づくりからは、一杯のラーメンを作るような矜持を読み取ったし、
 深夜アニメが僕らに提供してくれる楽観主義の強さに希望を感じる視聴体験だった。

SSSS.GRIDMAN 第9話「夢・想」

 画面・芝居・音響ともに、今までにない場所を志向した作品が
 これだけメジャーなものとして受け入れられていることに希望を感じる。
 アカネの芝居には、僕らの生活のシリアスな苦しみに隣接したものが乗っていたし、
 そこに肉薄してきた作り手の思いに、
 どうにかして本作の行き着くところを見届けたいと思わせた。
 終盤へ向かう明らかな転回点として、最高の映像を届けてくれた作り手たちに感謝したい。
 

宇宙よりも遠い場所 第12話「宇宙よりも遠い場所

 「旅する」ことをこれだけ真摯に描いたアニメを知らない。
 彼女らは「オズの魔法使い」の登場人物のように、
 その旅の物理的な終着点に立っても、自分が欲しかったものを手に入れることができないが、
 しかし、彼女らの心が変化する場所こそ、実際の旅の終着点だ。
 何かを始めること、それ自体を祝福してくれるような本作のことが好きだ。

アイカツスターズ! 第99話「ふたりの忘れ物」

 ローラの物語として本作を見たとき、そこに含まれるもののポテンシャルには爆発的なものがあったはずだ。
 僕はそれを、終盤99話・100話で確信した。
 特にこの99話終盤、ローラとゆめが浜辺で会話するシーンはレイアウトの精度から演出される
 芝居の空間の表現力がすばらしく、会話の中でゆるやかに解きほぐされていく二人の関係性に、
 ゆめのローラの物語の集大成を見た。

ヴァイオレット・エヴァー・ガーデン 第5話「人を結ぶ手紙を書くのか?」

 この話数の終盤にあって、川の表層に流れるものと、深いところを流れる思いの比率は逆転し、
 川の深いところを流れる比重の高い何物かが、水面に今にも顔を出そうとする。
 しかし、それは決して、けっして水面に出てはならないものである。
 秘匿された思いを乗せた平易なセリフ、空気感まで伝える精緻な作画。
 誰の目にも触れない宝石箱のようなエモに身悶えてほしい。

ダーリン・イン・ザ・フランキス 第5話「キミの棘、ボクのしるし」

 話数通して異次元の表現力が満ち満ちているような話数だが、
 ラストカット、刹那的な破滅主義の中に落ちていく主人公の表現に総毛だった。
 邪悪な高笑いをしながらくるくると回るゼロツーが、
 湖に倒れ込むかどうかわからなくなる一瞬でカメラは上方へと振られ、
 温室の天井が蜘蛛の巣を暗示する。
 ここの情報量と、それをコマ単位でコントロールせしめた演出の厳密性には恐怖さえ感じる。

アイカツフレンズ! 第28話「ひとりでもフレンズ!」

 フレンズの関係性は夫婦を意識したという本作。
 夜の波止場、幸せの中で別れ話を切り出される女子中学生が、
 どんな顔をしてどんな言葉でそれを受け容れようとするのか、
 まるでドキュメンタリーのように精緻に迫って、僕らを離さない。
 会話の裏側で、暗い川のように流れる感情を切り開くようなワンシーンの構築に胸を突かれた。

少女☆歌劇 レヴュースタァライト 第12話「レヴュースタァライト

 「お前はそれを見たかったんだろう、見せてやる」
 と決めつけられる快感がビシビシと決まっていく本作。
 少女の中に渦巻く巨大な感情をそのまま具現化したようなビジュアルの狂気は、
 感情を燃料に駆動する巨大な舞台装置によって表現され、画面を支配する。
 横からぶち込まれた東京タワーを渡る足元に、東京タワーの形の明かりが灯る演出には泣かされた。

以上です。