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あにめマブタ

@yokolineのアニメ記事がアップロードされます

アニメ演出上のサプライズの最高のサンプル (『アイカツスターズ!』15話)

アイカツスターズ! アニメ 演出 作画 考察

アイカツスターズ!』第14、15話は必見

 4月から始まった『アイカツスターズ!』も2クール目に突入した。
 1クール目の第8話「小さな輝き」の作画の端麗さや、ED映像「episode Solo」の鮮烈さも素晴らしい。しかし、ベストはと訊かれれば、やはり7月に放映された第14話「真昼の決闘!」そして第15話「月と太陽」にトドメを刺すだろう。この2話は、作画・演出ともに熱量がギンギンにたぎっており、その圧倒的なパフォーマンスで『アイカツスターズ!』全体のイメージさえ塗り替えてしまった!

 この記事では、特に第15話の「映像演出上の小さなサプライズ」に注目して、この話数のアニメ演出の強さの一端に迫る。
 ※第8、14、15話は直接繋がっているので、この3話分だけでも観てほしいぞ。

第15話のシーン1に至るあらまし

 姉妹でライバル関係にある、香澄夜空・真昼姉妹の因縁と決着が、第14・15話の2話まるまるを使って描かれる。
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 世界的ファッションモデルとデザイン会社社長の間に生まれた夜空・真昼姉妹。ひと足早く業界入りし、今やアイドル界トップに君臨する夜空に対して、真昼は複雑な思いを抱いていた。もちろん、昔は仲の良い姉妹だったが、自分への相談なしに行われた、夜空のアイドル学校への入学を、真昼は裏切りと感じてしまう。真昼はその悔しさから、姉と同じ道を選び、なおかつ夜空とのあいだに深い距離を置いているのだ。

シーン1:真昼が自主レッスン中に気を失う

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 第15話、自身が優秀であるがゆえに、夜空との絶対的な力量を痛感した真昼は、自分を追い込む過酷な自主練習のなか、過労に倒れる。
 実は、ここの絵コンテが、トリッキーでおもしろい。そしておもしろいという以上に、テクニカルな映像演出になっている。カットを連続で抜き出してみた。

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①:夜空は以前、この大五郎のようなボトルを頭の上に載せて、悠々とモデルウォーキングしてみせている。ペットボトルの大きさが、夜空と真昼の実力差を示すように画面に置かれる
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②:真昼のポージングも一見、完璧である。しかし真昼の険(ケン)のある表情には、笑顔も余裕もない。
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③-1、2:真昼の主観ショットで、画面は断続的にぼやけながらフラフラと揺れ、上を向く。
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④:ゆっくりと画面の右側に向かって、倒れこんでいく真昼。
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⑤:突然、「おっと」という夜空の声と手が、右側から、倒れこむ真昼の腰を支えた「かのように見える」。
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⑥:カメラが引くと、視聴者は自分が間違っていたと気付く。夜空がすんでのところで支えたのは、自分の担当するクラスの、別人だ。
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⑦:教師が硬い声で夜空を呼ぶ。真昼が倒れたことを伝えに来たのだ。
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⑧:心当たりもなく、不思議そうな夜空。

シーン1:なぜこれは映像上のトリックなのか

 この脚本・映像上のトリックは、かなり凝っている。
 変わらず仲の良い姉妹であろうとする夜空だが、真昼は夜空のアプローチを迷惑がってみせる。そんな真昼の態度も気にしない夜空だが、このシーンでは真昼と夜空の身体的・心情的、両方の距離感を、映像演出を使って表現していると思う。

 このシーンがどういう意味で「トリック」なのかを話す前に、視聴者がどのように映像を認識しているのかを、少しだけ考えておきたい。
 映像制作者は映像をカット→接続することで「違う場所・違う時間で起こったこと」同士をひとつの映像にしてしまうことが可能だ。しかし、普通のシーンで、本当に関係のないカット同士を繋ぐことはあまりない。実際、全く関係のないふたつのカットが連続した映像があったとしても、視聴者は何が起こっているのかが分からないだろう。
 そのため、基本的に映像制作者は「同じ時間・同じ場所で起きている出来事を、別の角度から捉えた映像」であるというふうにカットを繋ぐし、われわれ視聴者も、映像はそのように作られているはずだと認識している。*1

 このシーンは、その視聴者と映像制作者の「お約束」を逆手にとっている。④で倒れこんだ真昼と⑤で腰を支える夜空が直接繋がっているため、普通はこれが「同じ場所・同じ時間」に起きたことであり、真昼を支えたのは夜空であると思うだろう。
 しかし直後のカットで「夜空が支えたのは真昼ではなかった」と説明され、2つのカットは「別の場所」の出来事であると視聴者は理解する。それだけではない。次の瞬間には教師が呼びにきたことで、2つのカットは「別の時間」の出来事であると気付かされるのだ。
 時間と場所が変わったことを視聴者に示すのであれば、⑤と⑥のカットは、本来は逆であるはずだ。しかし、映像制作者たちは「真昼を夜空が支えた」と錯覚してもらいたいからこそ、わざわざこのようなカットの繋ぎ方をしているのだ。

 このトリックは、一瞬遅れて、視聴者に想像させる力がある。すなわち、少し前の時間に一人で硬い地面に倒れ、気を失ったまま、誰かに助けられるのを待っていた真昼の寂しい姿を、だ。
 この時空間の隔たりは、そのまま、夜空の真昼の精神的な隔たりだ。この映像演出は、真昼のそばにいてあげられない夜空の現在に、明るい光を当てて暴露してしまう。

 実はこのシーンが後半の映像演出上の伏線になってくる。更に、次のシーンを見てほしい。

第15話のシーン2に至るあらまし

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 保健室で休んでいる真昼のもとに駆け付けた夜空。「姉を超える」の一心でがむしゃらになっている真昼に「どうしてこんな無理を?」と、訳も分からず、夜空は心配の声をかける。しかし、今の真昼にはそんな夜空の声が、必死に追いすがる自分を歯牙にもかけていないように聞こえ、激しい調子で「私のことなんか放っておいて!」と大きな声を出す。
 いま、真昼を傷つけているのは真昼自身だ。もどかしさに夜空は唇を咬み、思わず真昼の頬を張る。お互いが、自分のしてしまったことに大きなショックを受けるなか、姉妹の断絶は決定的なものとなってしまう。

 かねてから決まっていた夜空との共演の予定をキャンセルし、自室に閉じこもる真昼。心配してやってきたクラスメートの小春に「あなたは姉を見返したいのではなく、大好きな姉に振り向いてほしかったんじゃないのか」と静かに指摘される。
 真昼は噛み締めるように考える。「そんなこと、今さら言えるわけない」。
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シーン2:真昼を迎えにいく夜空

 ストーリー上のクライマックスシーンであるシーン2では、シーン1を踏まえてみることで、更に重層的な仕掛けが施されていることに気付かされる。
 ここでも、カットをピックアップしながら、何が起こっているかを少しずつ確認していこう。

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・東屋(あずまや)に一人悩み、たたずむ真昼。(アイドルアニメの東屋登場率の高さに震えろ)
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・真昼を探して走ってきた夜空。「部屋にいないと思ったら……やっぱりここにいた…!」
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・信じられないようなものを見る顔の真昼。驚きの内側に、嬉しさがのぞき見える、複雑な表情。
このあと、「そんな格好でやってきて、あなたはトップアイドルの自覚はないの?」と動揺しながら返す真昼。
夜空は「トップアイドルである前に、私はあなたの姉よ」と毅然とした口調。
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・真昼「どうして……?」夜空「え?」真昼「私のことなんか、どうでもいいくせに!」
身体を大きく使った熱のある作画芝居。セリフとは裏腹に、真昼の「私のことを、もっと見てほしい」という、どうにもならない思いが丸見えになっている。これも複雑なさじ加減が必要な作画だ。 
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・真昼「優しくなんかしないで!」と背を向ける真昼に、夜空は突然、スケッチブックの切れ端を見せる。「ねぇ真昼……、これ、覚えてる?」
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・驚きのあと、後ろめたさと動揺で「それ、どうして……」とだけしか言えない真昼。
※映像的には、ジャンプズームをフェードで繋ぐことで、真昼の心情に一気に寄っていく。
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・真昼「捨てたはずなのに……」
差し出されたのは、いつか夜空が描いた真昼の絵だ。夜空が自分を置いて行ってしまった晩に、丸めて捨てたはずの。
カメラは上へパンアップする。
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・夜空「だってこれは、真昼が塗ってくれなくちゃ、完成しないでしょ?」
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・思いもしない答えに、息が詰まる真昼。
夜空「これを見るとね、お仕事でつらいことがあっても、頑張れた」
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・夜空「私を励ましてくれたの。真昼との思い出が」
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①-1(ここから20秒のワンカット):
真昼「おもい……で……?」
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①-2:夜空(画面には見えないでセリフのみ)「私、真昼が四つ星(学園)に入るって聞いて、うれしかった……! また一緒に遊べるんだって……」
夜空からずっと聞きたかった言葉を聞き、真昼の目がうるみ、大きくなったハイライトがチラチラとまたたく。
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①-3:涙があふれそうになるのを、歯を食いしばって眉根を寄せ、少し上向きになってこらえる。真昼の中で、何かが氷解していく。
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①-4:真昼「お姉ちゃん、わたし、本当はずっと……」
それまで張っていた意地とプライド、そして姉の気持ちに応えたいという思いの葛藤が口元の震えににじみ出る。
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①-5:顎をかみしめ、ギュッと瞼を閉じる。
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①-6:真昼「お姉ちゃん! ごめ
※言葉を最後まで言わせず
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①-7:真昼の言葉をさえぎるように夜空がフレームに駆け込んでくると、真昼を抱きしめる。真昼の驚き、見開いた目。飛び散る涙。映像はスローモーションに。
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②:クライマックスのあと、カメラはサッとロングに引く。驚きと緊張が解けて放心状態の真昼。夜空のロングヘアーがかすかに揺れる様子にだけ、一瞬前の昂ぶりが見て取れる。
 夜空「……昔もいまも、真昼のことが大好きよ……。」
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③:「もっと、早く話せばよかった……!」
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④:「ほんとだね、お姉ちゃん……!」
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⑤-1:カメラは回り込みながら二人を写す。
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⑤-2:夜空「……これからはステージで、一緒にお絵かきコーデしてくれる?」
真昼「……うんッ!」
パンアップしたカメラは、真円に輝く明るい月を映し、シーンエンド。

シーン2:長尺の感情芝居と音楽で雰囲気を高めてからのサプライズ

 ここで一番語らなきゃならないのは、もちろんカット①の、なんと20秒にもわたる長尺カットだ。

 このカット、夜空のセリフはフレームの外から聞こえてくるようにして(オフ台詞)、真昼の表情にクロースアップしている。理由は2つあるだろう。
 まず、一番のクライマックスとなる、真昼の表情芝居と葛藤をしっかり見せること。そして、フレーム外から飛び込んでくる夜空というサプライズの伏線としての役割だ。

 しかし、シーン1の部分から繋げて語ることができると思う。
 順を追って状況を確認しよう。いつも余裕があって超然とした夜空は、真昼の反発を知りつつ、自分の本心を隠していた。ここでの夜空の本心というのは、真昼が自分を追ってきてくれた嬉しさと、それが心の支えになっていたということだ。
 もちろん、それは自分がトップアイドルであることの自覚からであり、また真昼を「香澄夜空の妹」としてではなく、同じ業界の人間として対等な関係を結びたいという考えがあってのことだろう。(これは第14話の内容からも察することができる。)

 しかし、シーン1で分かるように、そういう夜空の愛情は、真昼を結果的には孤独にしてしまった。真昼はトレーニングの中で自分自身を追い込んでいくし、そういう真昼に夜空は気づかないままだ。上で述べたように、真昼と夜空の精神的な、そして物理的な断絶を映像のカットの断絶に仮託し、しかも視聴者をミスリーディングするような映像表現を使うことで、更に印象的に描かれていた。

 では、そんな2人の和解を描くとき、どのような映像表現を使えば良いのだろうか。
 ここでの制作者の答えは「映像をカットすることで表現した2人の断絶」を「真昼と同じカットに夜空が飛び込んでくるという『映像をカットしないこと』で解消する」というものだ。

 シーン1では抱き止められなかった真昼が、シーン2では夜空からしっかりと抱擁される。一度目は失敗したことが、二度目では成功するのだ。2回シチュエーションを反復し、かつ1回目とは微妙にズラすのは、同じ構図を作りやすいアニメでは、非常に強力な映像演出として機能することが多い。
 しかもここでは、ずっと「いつも余裕があって動じない」と視聴者にずっと印象付けてきた夜空が、走り寄ってハグするという大胆な行動に出るのだ。長い尺で真昼の複雑な心情の芝居をたっぷり見せつつ、緊張感を高めてから、何の前触れもなく、これである。全く予想できない。*2

 シーン1でも、そしてシーン2でも、脚本で仕込まれたサプライズを、映像演出で膨らませ、ひとつの話数の中に映像演出による反復構造をつくり、更にその内側に対比構造を織り込んでいる。この仕掛けにより、視聴者の感情を津波のように揺さぶるほどの、エモーショナルなシーン・話数に仕上がっていることがわかるだろう。
 なお、この話数は山地光人さんというアニメ演出家の、調べた限りでは初絵コンテ担当話数である。芝居作画の情報量の多さや、シンプルながら的確でわかりやすいカメラワークなど、素晴らしい仕事だと思う。(もちろん、この話数は各セクションの働きも目が覚めるようなものなのだが。)

最後に:「いつでも描き継ぐことができるもの」

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 ストーリーに寄せて、少し話そう。
 このシーン、真昼の「わたし、本当は」で途切れてしまった先の言葉は「ずっと寂しかった」であるし、「ごめ」までしか言えなかったが本来は「ごめんなさい」という謝罪の言葉があったはずだ。
 しかし、それでは本当の解決にならないのかもしれない。このすれ違いは、真昼・夜空双方の愛情のすれ違いであるが、どちらも間違っていたわけではない。真昼だけが謝ってしまえば、真昼がいろんなものを背負った、今までの関係の、形を変えただけの再生産が始まってしまうかもしれない。それは夜空の本意ではなかったろう。

 この前段で「『だいすき』って気持ちに、きっと間違いなんてないわ」という白鳥ひめのセリフがある。
 夜空は真昼に「ごめんなさい」を言わせないまま、抱きしめる。彼女も真昼に「寂しくさせてしまってごめんなさい」と謝りたかったはずだ。しかし、彼女らのこれからの関係は「ごめんなさい」で始まるべきものではない。なぜなら、これまでずっと送り続けてきたけどもすれ違ってしまっていた愛情が、向かう先をハッキリと見つけただけで、それまでも、誰も何も間違ってなどいなかったはずだからだ。

 ラストカットでは、捨ててしまった夜空の絵に真昼が色をつけた絵が、額に入って飾られている。本作は「いつでも描き継ぐことのできるもの」を描いているともいえるかもしれない。
 この話数は『アイカツスターズ!』が掲げている、一種の哲学のようなものを、言葉を使わずに、鮮やかに提示してしまったと思う。めまいがするほどテクニカルで、エモーショナルな話数だ。ぜひ、何回も観て味わってほしい。

 本日は以上です。

*1:ただし、別の建物や違う風景を映したりするカット(エスタブリッシュショット)によって「ここからは違う場所・違う時間に起こったことですよ」(シーン転換)と視聴者を明示すれば、視聴者はそれを理解してくれるだろう。

*2:実は、妹のことになるとスリップワンピースで校内を走り回るという夜空の大胆さは、前段で説明されているので、全くの予想外ではないし、あとから考えれば納得のいく描かれ方をしているのが、ストーリーライティングの上手さなのだ。

赤いリボン・目玉焼き・渡り廊下 ~ 『魔法少女まどか☆マギカ』TV版の構造解析~(23000文字)

魔法少女まどか☆マギカ 考察 演出 再録

 以下は、2014年5月に身内の同人誌(重版予定なし)で発表した同名の記事を、ブログ用に加筆・修正したものです。(当時の告知記事

はじめに(この文章のねらい)

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 この文章は『魔法少女まどか☆マギカ』のTVシリーズ(全12話)のうち、特に第1話Aパートの描写にクロースアップすることで、作品全体の構造を解析します。
 ここでの「構造を解析する」とは、ストーリーをかたちづくるいくつかの大きな要素が、ストーリー全体に対してどのような役割を担い、かつどのような効果をあげているのかを、考えることです。
 さて、今回『まどマギ』の分析をするにあたって、とった方法論は2つあります。

方法1:一見、意味のないシーンが存在する理由を考える

 ひとつめは、「それが何度も登場した理由を考える」です。
 キャラクターにも、それまで生きてきた人生があります。朝起きて、服を着て、朝飯を食べたはずです。しかし、多くの作家はそれらを全て記述することはしない。

 であれば、もし「赤いリボン」をつけるシーンが、キャラクターの人生の中から特にピックアップされたということは、作り手には、そこをとりわけ描写すべき理由があったはずです。
 もし「目玉焼き」に関するシーンが何度も、同じように登場するとしたら、そのシーンは何か、特別な意味を持っているのではないか。
 「渡り廊下」はどこで、何回登場したか?

 それらのシーンをピックアップし、似通っている場所、もしくは似通っているようで実は違う場所を探すことで、作品全体が、それらのシーンをどのような構造のどのようなポジションに埋め込んでいるかが、自ずと明らかになっていくはずです。

方法2:作品は「反対意見」に応えなければならない

 作品には「テーマ」があると言います。しかし、それは「作者が最も主張したいこと」というよりは、「ストーリーの構造がかたちづくる一連の議論の流れ」をテーマと呼んだほうがしっくりきます。
 ここで重要なのは、説得力のある物語の中には、ある意見(テーゼ)に対する「反対意見」(アンチテーゼ)が登場するはずだということです。

 もし第1話で主人公が掲げた主張がそのまま難なく最後まで通ってしまったとして、それは本当に強い意見でしょうか。僕らが鑑賞中に抱く「あれ、でも○○の場合は、その主張を通すのは難しくなるぞ?」と
いう不埒な考えは、物語内で払拭される必要があります。
 主張を強めるのは、反対意見に対しての反論です。であれば、テーマと思われるものに対する反論、対となって現れるものは、その作品のテーマである可能性が高いのではないか。これが2つ目です。

魔法少女まどか☆マギカ』第1話 Aパートへの着目

 本作第1話のAパートには、上の方法1および方法2を確認するための、全ての材料が揃っています。Aパートに登場するものを、要素の属性ごとに分類し、関連するものと比較したとき、『魔法少女まどか☆マギカ』がテーマと思われるものが浮き上がってくるように思います。

 次の段落から、論旨の本文となります。

■以降のネタバレについて
 ここからあとの文章はTV版全話を視聴している前提で書いていますので、まだご覧になっていない方は、ぜひ最後まで視聴してから、読んでいただければと思います。なお、劇場版新編『叛逆の物語』については、最後の節で曖昧な示唆を提示するに留めています。

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話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選(話数ごと1000文字のコメント付き)

話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選 アニメ 感想 演出

 こんばんは、年末あたりからめっきり寒くなりましたね。初参加となりますが、明日には本企画のトークイベントが開催されるということもあり、思い切って参加します。

 今回は、2015年中に放映された新作TVアニメから、10作品10本(順不同)を選ばせて頂きました。
 自分の基準はちょっとヘンですが「そのシリーズに興味が無い人が観たら、第1話から全部観てくれそうな話数」です。そのシリーズの魅力が一番伝わる話数、というイメージで選びました。

 この企画、実は既に集計が終わっておりますので、その結果も合わせて確認して頂けると嬉しいです。
「話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選」投票集計: 新米小僧の見習日記

 以下、10選となります。記事の文字数がすごく多くなってしまったので、最初のまとめと、最後のコメントだけ読んで頂くのが良いかと思います。そのとき、スクロールしながら目についた部分を読んで頂けば、という記事になります。

これから挙げるタイトルのまとめ

・『SHOW BY ROCK!!』第6話「DOKIィッ!?水着だらけの海合宿(ハート)ですぞ♪」
・『放課後のプレアデス』第4話「ソの夢」
・『六花の勇者』第1話「地上最強の男」
・『Charlotte(シャーロット)』第7話「逃避行の果てに」
・『ご注文はうさぎですか??』第6話「木組みの街攻略完了(みっしょんこんぷりーと)」
・『血界戦線』第5話「震撃の血槌(ブラッドハンマー)」
・『ローリング☆ガールズ』第6話「電光石火」
・『パンチライン』第6話「大晦日だよ、明香えもん」
・『響け!ユーフォニアム』第8話「おまつりトライアングル」
・『GANGSTA.』第4話「NONCONFORMIST」

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話数ラスト30秒が超絶かっこいい! ~『コンクリート・レボルティオ』1、2話~

コンクリート・レボルティオ アニメ ストーリー 感想 考察 演出

ストーリーの葛藤をラスト30秒に集約する手法

 『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』は、今期放映されている中でも「次どうなるんだ!?」の魅力に、特に長けているアニメだ。
 本作の舞台は、神化40年代という偽史的な昭和だ。そこには、ウルトラマンのような巨人や、ゴジラのような怪獣、鉄腕アトムのようなロボットが、みんな「超人」というくくりで同時に存在する。彼らが実際に存在することは公には伏せられているが、ほとんど公然の秘密だ。

 本作の大きな特徴は、時系列が錯綜した、その語り口だと思う。
 ある時点を境にして主人公の男女2人は袂を分かってしまうことが、冒頭から示唆される。一緒に理想を追った時期、そして敵同士になってからのエピソードが交互に乗り入れながらストーリーは進行していく。

 特にその語りがクライマックスを迎えるのは、各話のラスト30秒だと思う。
 本作のストーリーは、空白となっている「ある時点」を謎のままとしながら、各々の思いがラスト30秒のコンフリクト(葛藤)へと強力に収束する。
 この記事では、そんな各話数のラスト30秒を振り返りたい。

 ※ここからあと、全部、その話数のネタバレです!

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【告知】文フリ21で発表する文章「日常系とはなにか」のイントロダクション

 ヒグチです。冬は電気毛布が便利です。

 来たる三連休の終わり、11/23(月祝)の文学フリマ東京(第21回)で、実は「日常系」全般に関する文章を発表します。

 タイトルは「日常系とはなにか ~死者の目・生を相対化するまなざし~」です。

 簡単に背景を説明する前に、場所・時間などの詳細を置きます。
 ※簡単に説明といっても、3000文字くらい、きちんと書いてしまったのだけど。
 文章の最後に、新刊の表紙も載せています。


<第二十一回文学フリマ東京>

開催日:2015年11月23日(月祝)

開催時間:11:00~17:00

会場:東京流通センター 第二展示場

アクセス:東京モノレール流通センター駅」徒歩1分

公式HP:文学フリマ - 文学フリマ公式サイト-お知らせ


<参加サークル>

サークル名:あの日熱めの熱燗で

ブース場所:Eホール(1F) C-63


<頒布物概要>

・多重要塞 第四号(新刊):200円(64P)
 ※小説と評論と漫画が計4作

補足:
 声掛けて頂ければ、既刊も出てきます。
 コメントやリプライで、取り置きも致します。


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『SHIROBAKO』の音響演出について寄稿しました(アニメクリティーク新刊(C88))

雑記 演出 考察 告知 同人誌 SHIROBAKO

アニメ批評同人誌「アニメクリティーク」に寄稿しました

明日、8/14(金)に開催される、第88回コミックマーケット(1日目)のスペース東フ36aにて、
アニメ批評同人誌、アニメクリティークの新刊
『アニメクリティーク vol.3.0 特集 蟲・生物・人工物/アニメにおける〈音〉』が頒布されます。

今回、この本の第2特集である「アニメにおける〈音〉」に、
TVアニメ『SHIROBAKO』の音響演出について、5000文字の論評を寄稿しましたので、お報せします。

目次と詳細については、主宰のNag_Nayさんの記事をご覧ください。
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nag-nay.hatenablog.com

寄稿した論評の狙いと概要

キャラクターの生まれる渚
~『SHIROBAKO』の映像・音響演出~

今回は、上のように題して、アニメ制作を題材にしたTVアニメ『SHIROBAKO』のキャラクター表現について、
「音響演出」を足掛かりにして、本作の面白さを伝えることはできないかと考えました。

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μ'sはどこに戻ってきたのか ~『ラブライブ!』劇場版で、ふと悲しくなった~

アニメ ラブライブ! 感想 考察 雑記

ラブライブ!』劇場版の複雑な悲しさ

 にこまきながら(遅まきながら)『ラブライブ!The School Idol Movie』を観てきました。
 特に前半には難しいレイアウトで良い芝居をさせるカットが頻出したほか、ダンス中のカメラワークを作画で行うカットも多く、劇場版ならではのリッチな画面づくりが堪能できました。
 また、各キャラクターの見せ場はしっかりと確保されており、アニメ第1期・第2期と活動し続けてきた彼女らの集大成として、満足のいく仕上がりになっていたと思います。

 ひとつ、僕が気になったのは、本作がどこへ向かって進んでいたのかということです。
 本作の第2期終盤、そして劇場版はμ'sというグループのプロモーションムービー的ではありながら、それを少しずつ、確実にμ'sの9人が拒否していくような作りになっています。僕はそれが本作の特異な作家性の発露だと思っていますし、同時に、観客である僕ら自身の罪であるようにも思えて、非常に複雑な気持ちになります。

 以下では、μ'sというグループはどこに行きたかったのか、そしてそれを妨げていたのは誰なのかについて、自分の考えを短くまとめました。

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ラブライブ!Official Web Site | 『ラブライブ!The School Idol Movie』キャスト&スタッフ

「ラブライブ!The School Idol Movie」劇場本予告(90秒ver.) - YouTube

<以下、ネタバレ>

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