あにめマブタ

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たつき監督のキャラクター演出と、赤い木の悪魔的なデザイン(『ケムリクサ』最終話)

毎クール、最終回をリアルタイム視聴したくなるアニメが1~2本出るんだけど、『ケムリクサ』はそれでしたね。
界隈の盛り上がりに押されて、最終話放送週の日曜日に配信で追いついたクチだったんだけど、すごく楽しませてもらえた。

これはみんなの語り草だけども、最終話直前、11話のエンディング映像の演出にはズガンときた。
本作のエンディング映像は、元の6姉妹がだんだんと脱落していく、本編スタート前の物語を、6本の線とシルエットだけで表現するものだった。

!!ここから『ケムリクサ』最終話までのネタバレします!!

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話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選

今年が終わる5分前ですが、投稿を…。

●一覧:

●参考リンク
「話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記

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『SSSS.GRIDMAN』ダブルヒロインのキャラクターデザインがテクい

みんな、『SSSS.GRIDMAN』観てる?
仕掛け満載で、根掘り葉掘りで楽しめそう。

今日は、本編のヒロインのキャラクターデザイン、めっちゃ良いよね! ていう話。

ダブルヒロイン「宝多六花」「新条アカネ」のデザイン

本作の女性キャラのプロポーションは、足の太さや腰の高さなど、
パーツ単位でかなり明確に差別化がはかられているんだけども、
特にメイン2人、「宝多六花」「新条アカネ」のキャラクターデザインは、
思わぬところが工夫されてておもしろい。
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六花「Aライン」

黒髪で白服の六花は「Aライン」のデザインだ。

頭頂部からストンと落とした髪のラインが細い肩口に繋がり、
カーディガンの広がりに沿って、折り返しの大きい裾まで繋がっている。

重心は下方にある。
筋肉質な尻と太もも、
そして巧妙にもスカート丈と高さを合わせたカーディガンの裾だ。

アカネ「∀ライン」

さて、紫髪に紫髪のアカネは、
六花とは逆に、Aの逆向き「∀ライン」のデザインになっている。

重心は不安定にも、上方にある。
大きな胸と、思い切り着崩したレイヤード*1のパーカーで作られる、大きな肩だ。

これを強調するように、
パーカーの黄色いジップと、裾の塗分けはどちらもV字。
下がってきたラインはそのまま、高い腰から伸びる針金みたいに細い脚につながっている。

対称的なシルエット

六花とアカネのキャラクターデザインは、
脚の太さや腰の位置など、パーツ単位でも差別化されているほか、
プロポーションや着こなしをうまく使い、
特徴的で対称的なシルエットにデザインすることで、
キャラクターが多く映る場面や、遠いところから映したショットのなかでも、
メインヒロインが埋もれないように工夫されている。

また、映る機会の多い2人が「A」と「∀」という正反対のシルエットをとることで、
対照的あるいは似た部分のあるパーソナリティを強調し、
更には、映像自体のメリハリまでも演出しているわけだ。

本作、デザイン面に小ネタが散りばめられているらしいのだけども、
こういう「アニメ映像上でアクションするキャラクターをデザインする」という
ベースの地力の部分でも、高いパフォーマンスを発揮してくるので、すごいと思う。

また、ED映像で示唆されているように、
六花とアカネには浅からぬ因縁がありそうだ。

なぁ、「A」と「∀」は、並ぶと絵になるぞ…!(これを言いたかった)
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本日は以上。

*1:あれ、これ裏地が見えてるのか?

あなたは死体を埋めたあとの人間の肉声を出せるか(声優さんの芝居の上手さについて)

【目次】

声優さんの芝居について語るのは難しい

今日は、アニメの声優さんの芝居について話したい。

こんにち、たくさんの声優さんがたくさんのキャラクターを演じてくれているんだけども、
実のところ、「お芝居の上手さ」を文章で説明するのはすごく難しい。
ただ、「この芝居がすごく良かった」ということを、
どうにかして文字にして残すことはできないだろうか。

「リアル」な芝居=「っぽさ」の救い上げ

「芝居のうまさ」とは「リアル=現実に即している」だと考えたとき、
宇宙人や殺人犯の芝居ができる人間を探すのは、かなり難しい。
そもそも、見ている僕らが、それがリアルなのかどうかが判断できなくなってしまう。

おそらく、僕らが考えて「それっぽい」と感じる部分が多く含まれていれば、
僕らはそれをリアルだと感じてしまうのだ。*1

では、アニメの芝居について、そのリアルさは、
具体的にはどのようなかたちで僕らのもとに届くのだろう。

声優、黒沢ともよ

『響け! ユーフォニアム』シリーズの黄前久美子役でブレイクし、
今期の『宝石の国』でフォスフォフィライト役を演じている
黒沢ともよさんの芝居には、ちょっとゾッとするほどの説得力がある。

今回紹介したいのは、高校吹奏楽部を舞台にしたアニメ『響け! ユーフォニアム』より、
2期11話「はつこいトランペット」のワンシーンでの黒沢ともよさんの芝居だ。

少し、このシーンの背景を説明しよう。
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黒髪ロングの子、麗奈というのだが、この子は吹奏楽部の男性顧問にガチ恋している。
そして、麗奈と中学からの妙な因縁で結ばれているのが、髪の毛カールの久美子だ。
この二人の奇妙な関係性が、本作の大きな焦点になっている。
※この久美子を演じているのが、黒沢ともよさんだ。

さて、1期1話から露骨にほのめかされている情報ではあるのだが、
申し訳ない、少しストーリーのネタバレをする。

麗奈が恋している男性顧問、実は、最愛の奥さんを亡くしている。
久美子はひょんなことからそれを知ってしまうのだが、麗奈に悪いので黙っていた。

このシーンでは、やはり偶然からこのことを知ってしまった麗奈が、
久美子を夜の山中に呼び出し、山の頂上でモヤモヤをぶつけてくる。

自分が声優なら、どう演技するか?

このあと、実際の映像を観ていただくのだが、その前に考えていただきたい。
自分が声優なら、セリフをどのように言うのか、だ。

麗奈は事実に動揺しているが、全国大会を前に、吹奏楽はおろそかにできない。
このダブルバインドに、麗奈は自分の心の置き所を迷っている。
麗奈は怒っているように見えるが、苦しんでいるのである。

久美子は麗奈にかける言葉に迷う。
しかし、最終的には「麗奈のこと、応援しているよ」と伝えることになる。

では、この「応援しているよ」を、あなたなら、どのように芝居するだろうか。

  1. つとめて明るく、気をそらすように「大丈夫、応援してるよッ!」
  2. 優しく、さとすように「ね、応援してるよ」
  3. 立場上、苦しそうに「でもね、応援してるよ……?」

さぁ、どれだろう。

「応援してるよ」

では、黒沢ともよさんの実際の芝居を観ていただく。

観ていただけただろうか。
おわかりのとおり、この芝居は、事前に挙げた3つのいずれでもない。

久美子はまず奥さんは亡くなっていることを告げ、
おどろおどろしく不気味な「応援してるよ…」で言葉を結ぶ。

このシーンについて、順を追って考えていこう。

久美子は「こんなこと言うと、また性格悪いって言われるかもだけど」と口火を切り、
落ち着いて聞いて、と言うかのように麗奈の手に、自分の手を重ねる。
そして「もう、奥さん、いないんだよ」と、熱さも冷たさもない調子で告げる。

久美子の「いないんだよ」の口調から、
離婚でも別居でもなく、死別であることが麗奈にも伝わる。

ここでは、次の瞬間の麗奈に注目することで、
なぜあんな沈鬱な「応援してるよ」になるのかわかるだろう。

麗奈の心情に寄り添った久美子の芝居

麗奈の絵と声は、次のように推移している。

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1.言われたことが一瞬理解できない

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2.理解し、表情が驚きのかたちになり始める

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3.一瞬、「だったら、まだチャンスあるんじゃないの?」という表情が顔を上半分に見える
  ※この嬉しそうにも見える表情は、たった一瞬だ

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4.ギュッと眉根を寄せて、悔しそうに泣き出す

考えれば、麗奈の心情は複雑である。
恋敵はすでに亡くなっているのだ。
まだ自分の入り込むチャンスはあるのかも、と希望が持てる。

しかし、すぐにそんな自分の浅ましさに、自己嫌悪に襲われる。
何より、自分の好きな相手の不幸を喜んでしまったことに、
後悔と、情けなさで、涙がこぼれるのである。

寂しく泣き出した麗奈の手に、自分の指を深く絡め、
ほの暗い声色で、久美子は言う。
「わたし、応援してるよ……」

久美子と麗奈は、山中に死体を埋めた共犯者である

久美子は麗奈の心情を先回りした言動をしている。
奥さんのことを告げたあと、麗奈の性格なら、さらに自責の念に駆られるだろうと。

だから、この「応援してるよ……」は、
「私も、麗奈の、その浅ましい感情の、共犯者になってあげる」の言い換えなのである。

さて、これを念頭に置いて、もう一度映像を観ていただきたい。
※後半部分だけ切り出し直してあります。

いや、更に言ってしまえば、
久美子と麗奈は、夜の山中に、綺麗な夜景を見下ろしながら、
いわば仮想的に奥さんを殺して埋めた」のだ。

だから、久美子の口調はあんなに昏(くら)くて、優しくて、
そして、魔女のような滑らかさを帯びているのである。

上手い芝居はヤバい

いや、この芝居を聴いたとき、僕は「ウワッ、かなわない」と感じた覚えがある。
これだけ濃密なやり取りを、ハナから字面のセリフで伝えようとしていないからだ。

絵の調子や、画面の温度や、そしてキャラクターの口調や含んでいるものを使って、
どうか視聴者の内側で汲み取ってください、という制作者の前のめりの姿勢。すさまじい。

書いてきたとおり、このシーンは制作に関わっている人全員がベストワークを出しており、
それを一人の功績に帰することは本意ではない。

ただ、このシーンの久美子を、黒沢ともよさんが演じていなかったら、
全く違う調子のシーンになっていたのではないか、という感じは、間違いなくあると思う。

さて、この記事では、声優さんが見せる個々のシーンの芝居のうまさを、
どうにか抽出して伝えられないかと試みてきた。

キャラクターの人生は、視聴者の人生とは明らかに違うものだ。
しかし、そこを通じ合うことができる、細い「橋」があると考えられないだろうか。

声優さんは、そういう橋を慎重に渡って、
キャラクターが独自の人生を、独自の価値観で確かに生きている、生きていくことを、
まざまざと伝えてくれることがあると思う。

この記事では、その感動を、どうにか伝えたかったのです。

本日は以上です。

*1:リアリティについて、一番好きなエピソードを紹介したい。 映画『冷たい熱帯魚』に、連続殺人犯が死体の骨を処分するときに 醤油をジャバジャバ掛けてからドラム缶で焼くシーンがある。 もちろん、近所から匂いで怪しまれないためだ。 「現場」のリアリティに満ち満ちた描写だが、これは制作者が独自に考えたフィクションらしい。

真夜中と日差しの夢 ~『アイカツ!』神崎美月の5年3ヵ月~

目次

  • 真夜中の時代
  • 美月の性急な夢
  • 美月の発言のねじれ
  • 同じだけど、確実に違う空
  • 美月といちごの違えた道
  • 78話の衝撃
  • みくるが見出した美月
  • 101話を終えて美月に残った夢
  • 「あなたに奪われたいの」
  • 1人の人生は1人分の人生では足りない
  • アイドルの輝く空
  • 最後に
  • 宣伝

真夜中の時代

 神崎美月というアイドルが活躍したのは、マスカレードの時代が遠く過ぎ、いちご・あかりの時代にはまだ少しだけ早い「真夜中の時代」ともいえる時期だ。
 きっと人々は、いちご・あかりの時代を「最も幸せな時代」として振り返るだろうし、そして神崎美月についても「もしも、生まれるのが2年遅かったら」とも言うかもしれない。しかし本当に美月が2年遅く生まれていたら、いちごも、そしてあかりも、スターライトには入学していない。
 この文章は『アイカツ』本編を、神崎美月の「夢」を軸に整理していくものだ。

美月の性急な夢

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 星宮いちごが登場した1話時点で、美月は既にスターライトクイーンを2連覇した、トップアイドル中の(略)トップアイドルである。しかし、その口から真っ先に出てくるのは「早く私の所まで のぼってきて」という懇願の言葉なのである。劇場版でいちごがあかりにかけた言葉が「時間かかってもいい よじのぼっておいて」であったことと比べると、美月の切迫感というか、一種の性急さは際立っている。
 ここから始まる美月の「性急さ」は、本作を貫く軸になる。美月は登場当初から、何かを性急に追い求めているように見える。それは徐々に美月の口から「夢」というキーワードと共に、少しずつ語られていく。

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日常系とはなにか ~死者の目・生を相対化するまなざし~

本稿は「第二十一回文学フリマ東京」2015/11/23で頒布しました同人誌『多重要塞 vol.4』に収録された文章「日常系とはなにか ~死者の目・生を相対化するまなざし~」を改稿したものです。

はじめに

 「日常系」とは、描かれているもの自体ではなく、描かれ方のことだ。
 つまり、カメラが映しているモチーフではなく、カメラ自身の振る舞いを指していうものだ。

 よって、日常系とは、次のような場所や時間を描写したものである。

  • 等価値であり、それゆえに特定に名指しすることができない、無名の場所や時間
  • カットされず、長回しであり、止めることも早めることもできない、記録映像や監視カメラのフィルムリールのような場所や時間
  • 凍結されており、見ている側の意図の及ばない場所や時間
  • カメラの主体さえ、それがあったことを忘れてしまったような場所や時間

 これを言い換えれば、日常系とは「死者の目で撮られた、メディアのあらわれや特徴」のことである。

定義論について、補足

 日常系について「AやBやCや…といった作品のことだ」と言ったとしても、やはり真実の一端を掴むことはできる。なぜなら、ジャンルや分類は、実際の作品が現れたあと、事後的に「発見」されるものだからだ。
 ジャンル定義論争自体に根本的な不毛さがあるとすれば、ジャンルは個々の作品に先んじないために、「ジャンルとは、そもそも事後的に我々が勝手に名付け、定義づけるものだ」という正当性を、相互に矛盾する、あらゆる人の論理に与えてしまうからであろう。

 これから僕が始めようとしている日常系に関する議論だけが、そういう不毛さから免れることはできないだろう。しかし、用例的な数え上げ方にも、やはり取り逃している部分があるのではないか、という思いから、僕はこの文章を書いた。

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田中あすかという感情の獣(『響け! ユーフォニアム』2期)

田中あすかとは何者だったのか

 「田中あすか」というキャラクターは、『響け! ユーフォニアム』TVシリーズ第2期を貫く太い「心棒」であった。結局のところ、田中あすか黄前久美子という、未曾有に強力な主人公の格さえ「食って」しまったという風情まであった。
 田中あすかが僕の心臓を掴んだのは、1期中盤、何もない部屋で楽譜をにらみつけている田中あすかのカットだ。あすかのメガネのレンズには整然とした音符が映り込み、光線のような視線だけが場を支配している。
 あの部屋は、ほとんどあすかの心象風景だ。
 なんなんだ、この女は。そう思った。

 もうひとつ、印象的なシーンがある。
 1期ラスト、予選会場のステージの上で、田中あすかの鏡のようなレンズの向こう側が、久美子にだけ、ひらりと覗かせるタイミングだ。あすかは力なさげに笑うと、どこか別の場所を見ているような、不思議な顔つきをするシーンだ。僕は当時「田中あすかは、自分の力では避けようがないものについては最初から諦めているので、ああいう力のない表情になるのではないか」と書いている。

 そして、あすかのストーリーは第2期への棚上げされる。その結末がどのようになったのかは、みんなも知っての通りだ。
 この記事は、田中あすかというキャラクターを通して本作の概観を述べていく。
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