あにめマブタ

@yokolineのアニメ記事がアップロードされます

『ソウルイーターノット!』最終話:OPには、実はストーリーの結末まで描かれていたこと

ソウルイーターノット!』12話は最終回、観ました。今日は七兎(@vastblue710)に教えてもらった、OP映像には最初から、本作の結末までが描かれているという話を、最終話に絡めて書いています。

OP映像中のアーニャ


OP映像中のめめとアーニャには、終盤へ繋がる要素が散りばめられている。たとえばアーニャがあのロングスカートの下にタイツを履いていたことは、OP映像でわかっていたけど、映るのは最終話のシーンが初?
↓アーニャ、タイツを履く
f:id:yoko-sen:20140622222153j:plain
↓アーニャ、スカートを破り捨てて、ロイヤル空手の真髄を見せる
f:id:yoko-sen:20140705181321j:plain

アーニャは第9話でも、寝室でめめの睡拳と手合わせしているものの、ワンピースタイプの寝間着で応対しているからか、終始圧倒されるばかり。
更に第12話、つぐみの肩に足を乗せて時計台によじ登る際も、シャウラの面前にも関わらず靴は揃えて脱いで脇に置く。
f:id:yoko-sen:20140705181319j:plain
そんなどこまでもお姫様のアーニャが、めめとの再戦では、スカートを破り捨てる。アーニャはなりふり構っていない。ここで初めてアーニャはめめと引き分け、時計台から双方転げ落ちることに。

OP映像、一瞬だけ顔を見せる寮長

f:id:yoko-sen:20140705181259j:plain
f:id:yoko-sen:20140705181300j:plain
ヒントは柱の裏。つぐみに執着している寮長は、つぐみを監視しているみたい。

イラストや文字の素材を、キャストが制作するという趣向

――監督の発案だという、キャラクターが描いたイラストや文字を演じるキャストが描いていたりするのも面白い試みですね。
1クールの作品だとキャラクターを掴む頃には終わってしまうことになりがちなので…。出来るだけキャストとキャラクターの距離感を近くするために、皆さんにこういった試みへのご協力をいただいていました。

少年ガンガン7月号のインタビューから、監督の発案した趣向について引用した。
たとえば、声優の沢城みゆきさんは『うたわれるものらじお』第4回放送で、自分が演じるキャラクターの役作りをする際、そのキャラクターがどんな歩幅で、どんな呼吸で生きているのかを想像しながら「散歩する」ことで、役作りを進めていくというお話をされていたと記憶している。
書道や絵にも一定の呼吸がある。普段の呼吸のリズムや喋るとき、運動するときのリズムが、筆の運びに反映されるということであれば、絵や文字から、そのキャラクターの人となりが伝わるということもあるはずと思う。

アーニャさんが置いていったタヌキに、マフラーが!

f:id:yoko-sen:20140705181338j:plain

つぐみが見上げる高い空に2羽の鳥

つぐみのモノローグ、見上げる冬の高い空に、2羽の鳥が羽ばたいていく(左上に注目)。モノローグの内容に照らすと、つぐみはあの鳥に、自分より実力が上の、2人のパートナーを見ているんじゃないかな。
f:id:yoko-sen:20140705181341j:plain
つぐみ「パートナーがいなくてちょっと寂しいけど、そのあいだに私はがんばって、少しでも二人に追いつかなくちゃ…」
f:id:yoko-sen:20140705181342j:plain
キャラクターが何を見て、何を連想しているのか、というのが伝わってくる見せ方だと思う。

OP映像、ダンスシーンの意味

本題。第12話、つぐみはパートナーに二人とも選ぶ展開になったけど、それはOPの段階で全て描かれているんだという話を七兎(@vastvlue710)から聞いた。
f:id:yoko-sen:20140705181326j:plain

つぐみの変身するハルバードは、斧・槍・鎌を先端に付けた姿。槍はアーニャ、斧はめめに対応しており、それはそのまま、つぐみの進むべき道に対する迷いでもある。
第12話、めめ・アーニャの双方と魂を共鳴させたつぐみは、ハルバードとしての姿をフレキシブルに変化させることで、二人の戦闘スタイルに自在に対応する。

↓アーニャの槍術に合わせてハルバードの槍部分以外が縮む
f:id:yoko-sen:20140705181332j:plain
f:id:yoko-sen:20140705181333j:plain

↓めめのパワースタイルに合わせてハルバードの斧部分が拡張される
f:id:yoko-sen:20140705181334j:plain
f:id:yoko-sen:20140705181335j:plain

ラストのハルバードの変形と、OP映像のダンスシーンの比較

つぐみは、パートナーに合わせて自分を変化されることができる観察力がある。
最終話まで観ているならば、第11話・第12話のつぐみの共感する力に注目してもらえば良いのだけど、同時につぐみのそういう力は、OP映像の中でも暗示されているように思う。
それは、ダンスを踊るときのつぐみの行動に表れる、以下のように。

↓アーニャと踊るときは、優雅なスタイルに合わせてワルツ(?)を踊るつぐみ
f:id:yoko-sen:20140705181309j:plain
f:id:yoko-sen:20140705181303j:plain

↓めめと踊るときは、めめの直情的なスタイルに合わせて、タンゴ(?)を踊るつぐみ
f:id:yoko-sen:20140705181314j:plain
f:id:yoko-sen:20140705181315j:plain

調べたところ、ワルツやタンゴなどは腕を腰に当てている側が男性なので、めめ・アーニャがダンスをリードする側という風に描かれているのが、まず分かる。ホントかわいいな。
また、彼女らが踊っているのは、つぐみの瞳の中の、魂の共鳴を行った、青い空間のように見える。もしかすると、彼女らが戦っているとき、その心象風景としては、まるで踊っていたようなものなのかもしれない。
ここに繋がる伏線として、第1話でマカとソウルイーターの演武を観たつぐみは「二人で踊っているみたい…」と言っている。そして最終話の3人は、踊るように戦うという意味で、その域に肉迫していた。
つぐみは、第1話で憧れたものに、きちんと近づくことができるキャラクターなんだと思う。
f:id:yoko-sen:20140705181330j:plain

そういうつぐみの強さというのは、第7話でエターナルフェザー先輩にアーニャが攻撃を受ける際との比較でも、物語中で説明されている。
↓このシーンのあと、つぐみは「身体を武器にできる私が前に出てアーニャさんを守らなければならなかったんだ…」と後悔している。
f:id:yoko-sen:20140705181350j:plain

この伏線は、最終話で回収される。
↓チェーンソーを持ちだしためめに気圧されるアーニャをかばうように、身体の一部を武器化して防御しつつ戦うつぐみ。
f:id:yoko-sen:20140705181322j:plain
迷いのなくなったつぐみは、挫折から立ち上がって誰かを守れる、本当に強い主人公だ。

OP映像中のめめ

橋本監督は、OP映像の中で鏡を見ながら歯を磨いているめめのカットを、彼女の二面性を表したものだとしている。
※鏡があると、キャラを左右逆でデッサンを崩さずに2人描かなければならないという意味で、鏡が含まれるカットはアニメ演出家にとって、何らかの意図があると考えたほうが良いのかもしれない。
↓めめ、鏡を見ながら歯を磨く
f:id:yoko-sen:20140705181258j:plain

橋本監督は別の場所(少年ガンガン7月号)のインタビューで、めめについて次のように述べる。

――そういう裏設定を考えると、めめというキャラクターを作り上げるのは難しかったのではないですか?
確かにそうですね。めめって、根はすごくしっかりしていて頼りになる娘なんです。第2話で寝てしまったアーニャが持っていた本を片付けてあげたり、第3話でアーニャがトレーターの襲撃に遭った時も真っ先に駆けつけたり。おそらくそういう一面が、本来の彼女の姿だったのかなと想像してみたり…。だから本編でも、要所で本来の彼女を感じる演出を意図的に入れていました。

↓第2話より、いつもアーニャに怒られているめめが、アーニャに対してお姉さん感を出すシーン
f:id:yoko-sen:20140705192503j:plain
f:id:yoko-sen:20140705192459j:plain

そう考えると、今までずっと疑問だった、先のダンスシーンでつぐみがめめと向き合ったときに、少し驚いたような表情をしてうた意味がわかってくる。
↓めめの顔を見て、一瞬驚きの表情のつぐみ
f:id:yoko-sen:20140705181310j:plain
このとき、つぐみが目にしためめは、泣いていたんじゃないかと思ってしまう。
f:id:yoko-sen:20140705181324j:plain

ダンスのカットの最後は、めめとアーニャの手をとったつぐみがジャンプ。
実はここまでの流れは、第11話でアーニャとの魂の共鳴を経て、いつものめめとは違う一面に戸惑うも、第12話では3人での魂の共鳴に成功するという、本編の結末のストーリーの流れを、そのままなぞっていることがわかってくる。

つぐみは最終的に、めめとアーニャ、どちらを選ぶかという、今までの枠を覆して、今は3人でいることを選んだ。それはどちらを選ぶことからも身を引いた立場にいる、ということではない。
つぐみは最終話、めめとアーニャに向かって次のように言う。
「いつか3人が、もっと成長して、解散!って日が来るかもしれないけど、今はわたしたち、3人一緒が一番強い!」
つぐみは、関係性の終わりも、やはり見てしまっている。それは、飼い犬のポチが自分の知らない場所で死んでしまったという経験が関係しているのかもしれない。だからこそ、つぐみは今、何を大切にすべきなのか、何を伝えるべきなのかということに対して、まっすぐになれるんじゃないかと思う。

↓コマ送りをしながら観ていて、一番好きになった一枚。
f:id:yoko-sen:20140705181316j:plain

この記事では、OP映像の中に本編で明らかになることや、終盤の展開自体が、実は先んじて描かれていたことを確認してきた。OPやED映像というのは、実は12回とか繰り返し観られることを想定されている。だから、ストーリーの進行に応じて、そこから読み取れることは変化していくし、また、僕はそういう部分も、楽しみにしているのだと気付いた。

ということで、本日は以上です。
ソウルイーターノット!』、素晴らしい作品でした。
スタッフのみなさん、本当にありがとうございました!