話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選(話数ごと1000文字のコメント付き)
こんばんは、年末あたりからめっきり寒くなりましたね。初参加となりますが、明日には本企画のトークイベントが開催されるということもあり、思い切って参加します。
今回は、2015年中に放映された新作TVアニメから、10作品10本(順不同)を選ばせて頂きました。
自分の基準はちょっとヘンですが「そのシリーズに興味が無い人が観たら、第1話から全部観てくれそうな話数」です。そのシリーズの魅力が一番伝わる話数、というイメージで選びました。
この企画、実は既に集計が終わっておりますので、その結果も合わせて確認して頂けると嬉しいです。
「話数単位で選ぶ、2015年TVアニメ10選」投票集計: 新米小僧の見習日記
以下、10選となります。記事の文字数がすごく多くなってしまったので、最初のまとめと、最後のコメントだけ読んで頂くのが良いかと思います。そのとき、スクロールしながら目についた部分を読んで頂けば、という記事になります。
これから挙げるタイトルのまとめ
・『SHOW BY ROCK!!』第6話「DOKIィッ!?水着だらけの海合宿(ハート)ですぞ♪」
・『放課後のプレアデス』第4話「ソの夢」
・『六花の勇者』第1話「地上最強の男」
・『Charlotte(シャーロット)』第7話「逃避行の果てに」
・『ご注文はうさぎですか??』第6話「木組みの街攻略完了(みっしょんこんぷりーと)」
・『血界戦線』第5話「震撃の血槌(ブラッドハンマー)」
・『ローリング☆ガールズ』第6話「電光石火」
・『パンチライン』第6話「大晦日だよ、明香えもん」
・『響け!ユーフォニアム』第8話「おまつりトライアングル」
・『GANGSTA.』第4話「NONCONFORMIST」
話数ラスト30秒が超絶かっこいい! ~『コンクリート・レボルティオ』1、2話~
ストーリーの葛藤をラスト30秒に集約する手法
『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』は、今期放映されている中でも「次どうなるんだ!?」の魅力に、特に長けているアニメだ。
本作の舞台は、神化40年代という偽史的な昭和だ。そこには、ウルトラマンのような巨人や、ゴジラのような怪獣、鉄腕アトムのようなロボットが、みんな「超人」というくくりで同時に存在する。彼らが実際に存在することは公には伏せられているが、ほとんど公然の秘密だ。
本作の大きな特徴は、時系列が錯綜した、その語り口だと思う。
ある時点を境にして主人公の男女2人は袂を分かってしまうことが、冒頭から示唆される。一緒に理想を追った時期、そして敵同士になってからのエピソードが交互に乗り入れながらストーリーは進行していく。
特にその語りがクライマックスを迎えるのは、各話のラスト30秒だと思う。
本作のストーリーは、空白となっている「ある時点」を謎のままとしながら、各々の思いがラスト30秒のコンフリクト(葛藤)へと強力に収束する。
この記事では、そんな各話数のラスト30秒を振り返りたい。
※ここからあと、全部、その話数のネタバレです!
【告知】文フリ21で発表する文章「日常系とはなにか」のイントロダクション
ヒグチです。冬は電気毛布が便利です。
来たる三連休の終わり、11/23(月祝)の文学フリマ東京(第21回)で、実は「日常系」全般に関する文章を発表します。
タイトルは「日常系とはなにか ~死者の目・生を相対化するまなざし~」です。
簡単に背景を説明する前に、場所・時間などの詳細を置きます。
※簡単に説明といっても、3000文字くらい、きちんと書いてしまったのだけど。
文章の最後に、新刊の表紙も載せています。
<第二十一回文学フリマ東京>
開催日:2015年11月23日(月祝)
開催時間:11:00~17:00
会場:東京流通センター 第二展示場
<参加サークル>
サークル名:あの日熱めの熱燗で
ブース場所:Eホール(1F) C-63
<頒布物概要>
・多重要塞 第四号(新刊):200円(64P)
※小説と評論と漫画が計4作
補足:
声掛けて頂ければ、既刊も出てきます。
コメントやリプライで、取り置きも致します。
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『SHIROBAKO』の音響演出について寄稿しました(アニメクリティーク新刊(C88))
アニメ批評同人誌「アニメクリティーク」に寄稿しました
明日、8/14(金)に開催される、第88回コミックマーケット(1日目)のスペース東フ36aにて、
アニメ批評同人誌、アニメクリティークの新刊
『アニメクリティーク vol.3.0 特集 蟲・生物・人工物/アニメにおける〈音〉』が頒布されます。
今回、この本の第2特集である「アニメにおける〈音〉」に、
TVアニメ『SHIROBAKO』の音響演出について、5000文字の論評を寄稿しましたので、お報せします。
目次と詳細については、主宰のNag_Nayさんの記事をご覧ください。
nag-nay.hatenablog.com
寄稿した論評の狙いと概要
キャラクターの生まれる渚
~『SHIROBAKO』の映像・音響演出~
今回は、上のように題して、アニメ制作を題材にしたTVアニメ『SHIROBAKO』のキャラクター表現について、
「音響演出」を足掛かりにして、本作の面白さを伝えることはできないかと考えました。
μ'sはどこに戻ってきたのか ~『ラブライブ!』劇場版で、ふと悲しくなった~
『ラブライブ!』劇場版の複雑な悲しさ
にこまきながら(遅まきながら)『ラブライブ!The School Idol Movie』を観てきました。
特に前半には難しいレイアウトで良い芝居をさせるカットが頻出したほか、ダンス中のカメラワークを作画で行うカットも多く、劇場版ならではのリッチな画面づくりが堪能できました。
また、各キャラクターの見せ場はしっかりと確保されており、アニメ第1期・第2期と活動し続けてきた彼女らの集大成として、満足のいく仕上がりになっていたと思います。
ひとつ、僕が気になったのは、本作がどこへ向かって進んでいたのかということです。
本作の第2期終盤、そして劇場版はμ'sというグループのプロモーションムービー的ではありながら、それを少しずつ、確実にμ'sの9人が拒否していくような作りになっています。僕はそれが本作の特異な作家性の発露だと思っていますし、同時に、観客である僕ら自身の罪であるようにも思えて、非常に複雑な気持ちになります。
以下では、μ'sというグループはどこに行きたかったのか、そしてそれを妨げていたのは誰なのかについて、自分の考えを短くまとめました。
ラブライブ!Official Web Site | 『ラブライブ!The School Idol Movie』キャスト&スタッフ
「ラブライブ!The School Idol Movie」劇場本予告(90秒ver.) - YouTube
<以下、ネタバレ>
吉川優子の、流すはずじゃなかった涙について ~『響け! ユーフォニアム』11話~
優子は何に泣いたのか
TVシリーズアニメ『響け! ユーフォニアム』、これはとんでもない作品だということで、周囲のざわつきが止まらない。かくいう僕も、最新話である第11話を観たあと「北宇治まで五体投地したい」とツイッターに取り急ぎメモしたほどだ。
今日は、放映から少し遅れてしまったが、第11話「おかえりオーディション」について書きたいと思う。再オーディションが終わって、デカリボンちゃん(吉川優子)は席に座ったまま泣き崩れる。しかし、優子は何に泣いたのだろう。
中世古先輩がオーディションに落ちたことの悔しさからだろうか。それとも、最後まで中世古先輩の助けになることができなかった悲しさからだろうか。
僕は、どちらでもないと思う。
中世古先輩のことがわからなくなっていく優子
優子は、自分が中世古先輩が好きな理由を思い出すことができたから、泣いたのではないだろうか。
少しだけ、順を追って考えていこう。
第10話、「オーディションの結果には納得している」とウソをつく中世古先輩に優子は思わず、「あきらめないでください!」と叫ぶ。この言葉に、初めて中世古先輩は動揺したかのように見える。
それでも、中世古先輩は寂しい笑顔で「…ありがとう」とつぶやき、立ち去るのである。その表情を見て、優子は虚を突かれたような顔をする。