あにめマブタ

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【告知】文フリ21で発表する文章「日常系とはなにか」のイントロダクション

 ヒグチです。冬は電気毛布が便利です。

 来たる三連休の終わり、11/23(月祝)の文学フリマ東京(第21回)で、実は「日常系」全般に関する文章を発表します。

 タイトルは「日常系とはなにか ~死者の目・生を相対化するまなざし~」です。

 簡単に背景を説明する前に、場所・時間などの詳細を置きます。
 ※簡単に説明といっても、3000文字くらい、きちんと書いてしまったのだけど。
 文章の最後に、新刊の表紙も載せています。


<第二十一回文学フリマ東京>

開催日:2015年11月23日(月祝)

開催時間:11:00~17:00

会場:東京流通センター 第二展示場

アクセス:東京モノレール流通センター駅」徒歩1分

公式HP:文学フリマ - 文学フリマ公式サイト-お知らせ


<参加サークル>

サークル名:あの日熱めの熱燗で

ブース場所:Eホール(1F) C-63


<頒布物概要>

・多重要塞 第四号(新刊):200円(64P)
 ※小説と評論と漫画が計4作

補足:
 声掛けて頂ければ、既刊も出てきます。
 コメントやリプライで、取り置きも致します。


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『SHIROBAKO』の音響演出について寄稿しました(アニメクリティーク新刊(C88))

アニメ批評同人誌「アニメクリティーク」に寄稿しました

明日、8/14(金)に開催される、第88回コミックマーケット(1日目)のスペース東フ36aにて、
アニメ批評同人誌、アニメクリティークの新刊
『アニメクリティーク vol.3.0 特集 蟲・生物・人工物/アニメにおける〈音〉』が頒布されます。

今回、この本の第2特集である「アニメにおける〈音〉」に、
TVアニメ『SHIROBAKO』の音響演出について、5000文字の論評を寄稿しましたので、お報せします。

目次と詳細については、主宰のNag_Nayさんの記事をご覧ください。
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nag-nay.hatenablog.com

寄稿した論評の狙いと概要

キャラクターの生まれる渚
~『SHIROBAKO』の映像・音響演出~

今回は、上のように題して、アニメ制作を題材にしたTVアニメ『SHIROBAKO』のキャラクター表現について、
「音響演出」を足掛かりにして、本作の面白さを伝えることはできないかと考えました。

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μ'sはどこに戻ってきたのか ~『ラブライブ!』劇場版で、ふと悲しくなった~

ラブライブ!』劇場版の複雑な悲しさ

 にこまきながら(遅まきながら)『ラブライブ!The School Idol Movie』を観てきました。
 特に前半には難しいレイアウトで良い芝居をさせるカットが頻出したほか、ダンス中のカメラワークを作画で行うカットも多く、劇場版ならではのリッチな画面づくりが堪能できました。
 また、各キャラクターの見せ場はしっかりと確保されており、アニメ第1期・第2期と活動し続けてきた彼女らの集大成として、満足のいく仕上がりになっていたと思います。

 ひとつ、僕が気になったのは、本作がどこへ向かって進んでいたのかということです。
 本作の第2期終盤、そして劇場版はμ'sというグループのプロモーションムービー的ではありながら、それを少しずつ、確実にμ'sの9人が拒否していくような作りになっています。僕はそれが本作の特異な作家性の発露だと思っていますし、同時に、観客である僕ら自身の罪であるようにも思えて、非常に複雑な気持ちになります。

 以下では、μ'sというグループはどこに行きたかったのか、そしてそれを妨げていたのは誰なのかについて、自分の考えを短くまとめました。

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ラブライブ!Official Web Site | 『ラブライブ!The School Idol Movie』キャスト&スタッフ

「ラブライブ!The School Idol Movie」劇場本予告(90秒ver.) - YouTube

<以下、ネタバレ>

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血液を燃やして走り続けろ ~『マッドマックス 怒りのデス・ロード』感想~

マッドでヒューリーなアレ

 インパクトのあるイベントの連続で構成された映画を「ジェットコースタームービー」と呼ぶが、この映画はジェットコースターそのものだ。
 本作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』では、あらゆるイベントが、猛スピードで疾走する車上で行われる。車のボンネットにくくりつけられたままのような120分間で、120パーセントの満足感を味わえた。
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 この記事では、映画を観て思ったことについて、メモしておく。

<以下、ネタバレ>

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吉川優子の、流すはずじゃなかった涙について ~『響け! ユーフォニアム』11話~

優子は何に泣いたのか

 TVシリーズアニメ『響け! ユーフォニアム』、これはとんでもない作品だということで、周囲のざわつきが止まらない。かくいう僕も、最新話である第11話を観たあと「北宇治まで五体投地したい」とツイッターに取り急ぎメモしたほどだ。

 今日は、放映から少し遅れてしまったが、第11話「おかえりオーディション」について書きたいと思う。再オーディションが終わって、デカリボンちゃん(吉川優子)は席に座ったまま泣き崩れる。しかし、優子は何に泣いたのだろう。
 中世古先輩がオーディションに落ちたことの悔しさからだろうか。それとも、最後まで中世古先輩の助けになることができなかった悲しさからだろうか。
 僕は、どちらでもないと思う。

中世古先輩のことがわからなくなっていく優子

 優子は、自分が中世古先輩が好きな理由を思い出すことができたから、泣いたのではないだろうか。

 少しだけ、順を追って考えていこう。
 第10話、「オーディションの結果には納得している」とウソをつく中世古先輩に優子は思わず、「あきらめないでください!」と叫ぶ。この言葉に、初めて中世古先輩は動揺したかのように見える。
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 それでも、中世古先輩は寂しい笑顔で「…ありがとう」とつぶやき、立ち去るのである。その表情を見て、優子は虚を突かれたような顔をする。

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劇場から彼女にハローと呼びかけること ~『血界戦線』OP/ED分析~

血界戦線』OP/EDを読む

 各30回ほどは観ているだろうか、というのは、4月から始まったTVアニメシリーズ『血界戦線』のオープニング、エンディング映像のことである。
 ともに松本理恵監督が絵コンテを担当した2本の映像には、いくつもの物語上のヒントや、テーマに関係する事物が登場する。この2本の映像を少しずつ追っていくだけでも、本作が描いていくものの内実に、より近付けると思う。
 今や、物語は佳境を迎え、事態は抜き差しならない状態だ。今週末からの総集編に向けて、本作が描いてきたものを、OP・ED映像を観ることで、整理していこう。

世界劇場という考え方

 本作の主人公 レオナルド・ウォッチは、鍛え上げた強靭な肉体を持っているわけでも、厳しい修行によって得た技術を持っているわけでもない。
 しかし彼は、一種の事故に遭ったことをきっかけにして、秘密結社ライブラに加入し、異界と現世が交わる、その最前線に身を置くこととなる。
 もともとのレオは、ライブラにいるべき人間ではないだろう。
 彼はどうして、本作の主人公だったのだろうか。

 本作のOP、EDについて考えていく前に、ある戯曲作家が書いたセリフを書き留めておく。
 
 "All the world’s a stage, And all the men and women merely players: They have their exits and their entrances;"
 ~世界は舞台だ、あらゆる男も女も、そこでは役者でしかない。彼らは各々の、退場口と入場口とを持っている。~

 『血界戦線』のOP/EDには、どちらも「舞台」が映される。
 本作は、訳の分からないまま、今まさに上演されている芝居の中に放り込まれた、ごく普通の人間の物語なのだ。

OP前半:レオは突然、自分が舞台の真ん中に立っていることに気付く

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読者の心を殴る強さを最大化する技術 ~『惑星のさみだれ』の凄み~

今日、『惑星のさみだれ』を読もう

 みんなが「これはすげぇぞ、読め」と、格闘家みたいなことしか言わないことで有名な漫画『惑星のさみだれ』(水上悟志少年画報社)が、5月一杯(明日の夜中)まで無料配信されている。
 この記事では、本作が「すげぇ」と呼ばれる理由を1つだけ挙げることで、読者をひとりでも増やそうというものだ。
 みんな、これは全10巻の漫画なのだ。今日だ、今から前半(6巻くらいまで)を読もう。そして明日、後半を読むのだ。www.cmoa.jp

壁を殴って後ろに抜ける

 先取りして言ってしまえば、本作の凄さとは「ベクトルが揃っている」ことに尽きる。本作を構成する大きな要素は、読者に衝撃を与えて漫画に没入されるためだけに、細心に調整されている。この調整は作り手の中で、半ば無意識に行われたものなのかもしれないが、ともかく本作は読者に対して、バケモノのような攻撃力を叩き出してくる。

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